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小浦にこさん=2024年8月12日午後5時44分、広島県呉市広古新開、遠藤花撮影
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 世界屈指のバレエ学校「ロシア国立ワガノワバレエアカデミー」を7月、首席で卒業した。

 小浦にこさんは、広島県呉市川尻町出身の19歳。両親ともバレエ経験はないが、母親に姿勢を良くするためにと勧められ、3歳でバレエを始めた。表情や体の動きだけで、心の内を表現できるバレエのとりこになり、小学3年の頃からはほぼ毎日、レッスンに通うようになった。

  • 【写真】作品「コッペリア」で演じる小浦にこさん

 アカデミーを目指したきっかけは、小学5年のときに見たドキュメンタリー映画。厳しい世界で、必死に努力するバレリーナの姿に心打たれた。

 中学3年でオーディションを受け、合格通知が届いたが、2週間後に取り消しの連絡を受けた。「人生のどん底みたいな気持ち」だったが、すぐに切り替えた。思いは冷めるどころか高まるばかりで、練習を重ねて、翌年の2020年に合格を手にした。

 入学後は、午前9時から午後7時までレッスン漬け。公演前は午後9時ごろまでリハーサルをすることも。先生の横について練習し、1日に5千回のジャンプ練習を勧められると、その通り実践した。そうした成果もあり、昨年12月には「くるみ割り人形」の公演で、ソリスト(バレエのソロを踊る人)として中国人形を演じた。

 入学当初はホームシックになり、家族と毎日朝と夜、ビデオ通話したが、2年遅れて妹が入学。寮の2人部屋で一緒に暮らした。空き時間は、大好きな女優オードリー・ヘプバーンの絵を描いて息抜き。最近の趣味は、リズム感を良くするために始めたピアノの練習だ。

 ロシアの隣国ベラルーシにある「ベラルーシ国立ボリショイ劇場バレエ団」への入団が決まっている。「ロミオとジュリエット」のジュリエット役を演じるのが目標で、世界的バレリーナを夢見る。

 「見に来てくださった方々に、心からの感動を届けられるバレリーナになりたい」(遠藤花)

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 ワガノワバレエアカデミーは、ロシア西部のサンクトペテルブルクにあり、数多くの世界的ダンサーを輩出した。小浦さんによると、世界各国から生徒が集まり、同級生約45人のうち大半が留学生で、日本人留学生は6人だった。

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